錐体特異的視物質キナーゼ、GRK7

English


メダカ網膜で見いだされた2種のオプシンキナーゼ

 光を受け活性化した視物質は、Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRK)によりリン酸化され、アレスチンが結合して不活性型になる。哺乳類のGRKは、それまでに6種のサブタイプが発見されており、それらは3種のファミリーに分類されている。それらのうち、光受容に関与するGRKは、RK(ロドプシンキナーゼ)あるいはGRK1とも呼ばれ、哺乳類では桿体と錐体のいずれの視細胞にも存在しているとされていた。

 我々はメダカ網膜に発現するGRKを検索し、2種のキナーゼ(OlGRK-RとOlGRK-C、左図参照)をコードするcDNAを見いだした。OlGRK-Rは、哺乳類のRKと高い相同性を示したが、OlGRK-CはGRKの新しいサブタイプをコードしていると考えられた。我々は、OlGRK-CがGRKの7番目のサブファミリーに属すことから、そのサブファミリーを GRK7と名付けた。 それぞれのキナーゼの発現を調べたところ、OlGRK-Rは桿体に、OlGRK-Cは錐体特異的であることが示唆された。最近では、ヒトなどの哺乳類にもGRK7が存在することが明らかになり、遺伝性疾患などとの関連性も注目されている。


翻訳後修飾

 ウシのRKには3カ所の自己リン酸化部位が存在し、リン酸化活性の調節に関与するとされている。また、C末にはファルネシル基が付加され、それによりRKは膜表面に弱く結合していると考えられている。OlGRK-Rでは、ウシRKと同様、3カ所の自己リン酸化部位とファルネシル基付加のコンセンサス配列が存在していた。しかし、OlGRK-Cでは自己リン酸化部位は1カ所しか保存されておらず、またそのC末には脂肪酸の長いゲラニルゲラニル基付加のコンセンサス配列が存在していた。これらの違いは、桿体と錐体の光応答に何らかの影響を与えていると推定された。




参考文献 :

・Hisatomi et al. (1998) A novel subtype of G-protein-coupled receptor kinase, GRK7, in teleost cone photoreceptors. FEBS Lett. 424(3), 159-164. (PubMed)


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