S-モジュリンとs26
S-モジュリンはウシガエル桿体に存在し、カルシウム濃度依存的にオプシンキナーゼの活性を調節するタンパク質である。S-モジュリンは本学・河村悟教授によって発見されたが、哺乳類ではリカバリンと呼ばれることが多い。S-モジュリンのホモログであるs26は、錐体に存在するとされている。
我々は、河村教授との共同研究により、S-モジュリンの大量発現系を構築した。さらに、部位特異的変異体を作製し、S-モジュリンとs26の違いなどを調べた。左図は、リコンビナントS-モジュリンを発現させた大腸菌のSDS-PAGE。赤色の矢先がリコンビナントS-モジュリンのバンドを示す。ゲルの上部の+-は、インダクションの有無。
S-モジュリンの機能メカニズム
上述の発現系を用いて、いくつかの部位特異的変異体を作製した。まず、2カ所存在するカルシウム結合ドメイン(EF-2およびEF-3)に変異を加えた部位特異的変異体を作製し、EF-3に先にカルシウムが結合することを示した。また、視細胞外節膜との結合性を調べ、カルシウムの結合に伴いS-モジュリンは左図のように変化することを示唆した。このような変化が「カルシウム-ミリストイル・スイッチ」の分子メカニズムの実体であろうと考えられる。
S-モジュリンとs26の性質の違い
S-モジュリンはs26に比較して、高い視細胞外節膜への結合能を持つ。我々はこの膜への結合能の違いがS-モジュリンのC末部分に存在する正に帯電した残基に由来することを示した。また、その違いが、ロドプシンのリン酸化の効率に影響を与えることを示した。
これらの性質の違により、光を受けて生じる活性型視物質の寿命が変化するので、結果として桿体と錐体の光応答に影響を与えるであろうと予想された。
参考文献 :
・Kawamura et al. (1996) Photoreceptor protein s26, a cone homologue of S-modulin in frog retina. J. Biol. Chem. 271(35), 21359-21364. (PubMed)
・Hisatomi et al. (1997) Functional expression and characterization of frog photoreceptor-specific calcium-
binding proteins. Biochem. Biophys. Res. Commun. 234(1), 173-177. (PubMed)
・Matsuda et al. (1998) The role of calcium-binding sites in S-modulin function. J. Biol. Chem. 273(32), 20223-20227. (PubMed)
・Matsuda et al. (1998) Role of carboxyl-terminal charges on S-modulin membrane affinity and inhibition of
rhodopsin phosphorylation. Biochemistry 38(4), 1310-1315. (PubMed)
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